DO52Pro 製作記 5: 5方向スイッチが動かない。原因は、基板の2つのランドの「はんだブリッジ」だった
製作の進み具合■■■■■□□□5 / 8
DO52Pro は、トラックポイントと5方向スイッチ(十字キー)を備えた、AliExpress 系の分割キーボードキットです。日本語の組み立て情報はほとんどなく、公式の手順は、中国語の動画だけでした。
組み上げたあと、通常のキーも、トラックポイントも動いたのに、5方向スイッチだけが、まったく反応しませんでした。せっかく、ここまで来たのに、最後の一歩で、足が止まりました。この記事は、その原因が「基板の小さなランド2つを、はんだでつなぐ」という一手間だった、という記録です。そもそも、説明書がないので、何が足りないのかも分からず、手探りで、つまずきました。
結論
- 5方向スイッチを動かすには、基板の矢印形の小さなランド2つを、はんだでつなぐ(ブリッジする)必要がありました。
- 左右の基板、それぞれで必要です。
- 右の基板は、ダイオードの足の切れ端で、2つのランドをまたいでつなぎました。左の基板は、半田を盛ってつなぎました。
- 作業のあと、VIA の「マトリックスをテスト」で、5方向スイッチの位置が反応するようになりました。
症状: 5方向スイッチの位置だけ、光らない
ファームウェアは、AliExpress の販売元に送ってもらった、VIA 対応のファイルを書き込みました。通常のキーは、すべて反応し、トラックポイントでは、ポインターも動きました。
ところが、5方向スイッチだけは、キーテスターにも、何も出ません。VIA の「マトリックスをテスト」で、押したキーが光る画面でも、5方向スイッチの位置だけが、暗いままでした。
つまり、スイッチの入力が、キーボード本体に届いていませんでした。
調べたこと
1. 基板の「枠」を見る
5方向スイッチを付ける位置には、6つの穴の枠があります。その下に、矢印のような形をした、小さなランドが2つ、並んでいます。
以降、この記事では、6つの穴を P1〜P6、矢印形のランド2つを A・B と呼びます。
スイッチを付けて、6つの端子を、はんだ付けしたあとの状態が、こちらです。矢印形のランドは、まだ何もつながっていません。
2. 6つのパッドが、どこにつながっているか測る
スイッチの6つのパッドと、Pro Micro の各ピンの間を、テスターで測りました。まず、GND との間の導通を調べて、そのあと、Pro Micro の各ピンとの導通を、1本ずつ調べました。テスターは、ダイオード/導通のレンジです。
結果は、次のとおりです。
| パッド | つながる先 |
|---|---|
| P1 | Pro Micro のピン2 |
| P2 | ピン5 |
| P4 | RX1 |
| P5 | ピン6 |
| P3 | 中央を押したときだけ、ピン2と導通 |
| P6 | どのピンにも、つながっていない |
P1・P2・P4・P5 は、ちゃんとピンにつながっていました。ところが、P6 は、どのピンにもつながっておらず、P3 も、中央を押したときしか、つながりません。これでは、押しても、入力が、マイコンに届きません。
ファームウェアの側は、5方向スイッチを読む設定になっています(VIA のレイアウト定義に、5方向スイッチ用の行があります)。だとすると、基板の側で、何かをつなぐ必要があるのでは、と考えました。
3. 販売元の動画に、ヒントがあった
AliExpress の販売元に、ファームウェアと組み立て方を問い合わせたときに、案内してもらった解説動画(中国語、Bilibili)のうち、短い2本目「do52pcb区别」を、もう一度、見直しました。DO42との違いの部分を説明しているような動画で、基板を紹介する場面(0:54付近)に、5方向スイッチの枠の下の、2つのランドに、はんだの塊が付いているのが見えました。説明の字幕は、ありません。
「もしかして、ここをつなぐのでは」と思って、試しました。
直し方
- USB ケーブルと、左右をつなぐケーブル(TRRS)を、外します。
- 5方向スイッチの枠の下にある、矢印形のランド2つ(A と B)を探します。
- ランド A と B の間が離れているので、抵抗やダイオードの余った足を、短く切って、コの字に曲げ、2つのランドにまたがせます。
- 両端を、はんだ付けします。
- 2つのランドの間で、テスターの導通を確認します。
はんだだけで、つなごうとすると、玉になって、つながりにくいです。足の切れ端を、橋にすると、確実でした。
ここで、白状します。はんだ付けが、かなり下手くそです。
「橋をかける」というより、「はんだの団子を、2つ作って、くっつけた」に近いです。特に右の基板は、足の切れ端を、2つのランドに渡したはずなのに、はんだが盛り上がって、足が、もうどこにあるのか分かりません。左の基板も、こんもり盛った、小さな山が、2つ並んでいます。
でも、導通はしていて、5方向スイッチは動きました。 見た目はともかく、動けば、よし、ということにしてください。もっと、きれいに付けたい方は、こて先の温度を、少し上げて、フラックスをたっぷり塗って、短い時間で仕上げると、もう少し、スマートにできるはずです(自分でできるとは、言っていません)。
結果: 5方向スイッチが、光った
ブリッジのあと、VIA のマトリックステストで、左右とも、5方向スイッチの5つの位置が、すべて光りました。
光った瞬間は、「予想が当たって良かった」という気持ちと、「こんな落とし穴があるなら、説明書くらい同梱してほしかった」という気持ちが混ざり、なんとも言えない感情でした。でも、動いて良かったです(笑)。
わかっていないこと
- ブリッジで、どの配線が、つながったのかは、測っていません。「つなげば動く」ところまでしか、確かめていません。
- 販売元や、製造時期が違うキットで、同じかどうかは、わかりません。
- 動画は、1本目が DO42(42キー版)の組み立て、2本目が DO42 との違いの説明、という内容に見えました。DO52Pro そのものの解説かは、確認できていません。
同じキットで、5方向スイッチが動かない方の、参考になればうれしいです。
次の記事
次は、いよいよ、ケースに入れて、形にします。製作記6に書きました。
DO52Pro分割キーボード自作キーボードトラックポイントVIA