Nomad Bench

DO52Pro 製作記 5: 5方向スイッチが動かない。原因は、基板の2つのランドの「はんだブリッジ」だった

2026-10-09 ・ DO52Pro 製作記

製作の進み具合■■■■■□□□5 / 8

DO52Pro は、トラックポイントと5方向スイッチ(十字キー)を備えた、AliExpress 系の分割キーボードキットです。日本語の組み立て情報はほとんどなく、公式の手順は、中国語の動画だけでした。

組み上げたあと、通常のキーも、トラックポイントも動いたのに、5方向スイッチだけが、まったく反応しませんでした。せっかく、ここまで来たのに、最後の一歩で、足が止まりました。この記事は、その原因が「基板の小さなランド2つを、はんだでつなぐ」という一手間だった、という記録です。そもそも、説明書がないので、何が足りないのかも分からず、手探りで、つまずきました。

結論

私の手元のキットで、動いた方法です。販売元や製造時期によって、基板が違う可能性があります。作業は自己責任でお願いします。

症状: 5方向スイッチの位置だけ、光らない

ファームウェアは、AliExpress の販売元に送ってもらった、VIA 対応のファイルを書き込みました。通常のキーは、すべて反応し、トラックポイントでは、ポインターも動きました。

ところが、5方向スイッチだけは、キーテスターにも、何も出ません。VIA の「マトリックスをテスト」で、押したキーが光る画面でも、5方向スイッチの位置だけが、暗いままでした。

VIA のマトリックステスト画面。通常のキーは紫に光っているが、中央付近の5方向スイッチの位置は暗いまま
VIA のマトリックステスト。通常のキーは光るのに、中央の十字(5方向スイッチ)の位置だけ、反応がない。

つまり、スイッチの入力が、キーボード本体に届いていませんでした。

調べたこと

1. 基板の「枠」を見る

5方向スイッチを付ける位置には、6つの穴の枠があります。その下に、矢印のような形をした、小さなランドが2つ、並んでいます。

5方向スイッチ用の6つの穴(P1からP6)と、その下の矢印形の小さなランド2つ(AとB)に印を付けた写真
5方向スイッチの枠(部品を付ける前)。6つの穴に P1〜P6、矢印形のランドに A・B と、印を付けた。

以降、この記事では、6つの穴を P1〜P6、矢印形のランド2つを A・B と呼びます。

スイッチを付けて、6つの端子を、はんだ付けしたあとの状態が、こちらです。矢印形のランドは、まだ何もつながっていません。

5方向スイッチの6つの端子をはんだ付けした、左右2枚の基板の裏面。矢印形のランドは空いている
スイッチの6つの端子は、はんだ付け済み。矢印形のランドは、そのまま。

2. 6つのパッドが、どこにつながっているか測る

スイッチの6つのパッドと、Pro Micro の各ピンの間を、テスターで測りました。まず、GND との間の導通を調べて、そのあと、Pro Micro の各ピンとの導通を、1本ずつ調べました。テスターは、ダイオード/導通のレンジです。

ダイヤルをダイオード/導通のレンジに合わせたテスター
テスターは、ダイオード/導通のレンジ。

結果は、次のとおりです。

パッド つながる先
P1 Pro Micro のピン2
P2 ピン5
P4 RX1
P5 ピン6
P3 中央を押したときだけ、ピン2と導通
P6 どのピンにも、つながっていない

P1・P2・P4・P5 は、ちゃんとピンにつながっていました。ところが、P6 は、どのピンにもつながっておらず、P3 も、中央を押したときしか、つながりません。これでは、押しても、入力が、マイコンに届きません。

ファームウェアの側は、5方向スイッチを読む設定になっています(VIA のレイアウト定義に、5方向スイッチ用の行があります)。だとすると、基板の側で、何かをつなぐ必要があるのでは、と考えました。

3. 販売元の動画に、ヒントがあった

AliExpress の販売元に、ファームウェアと組み立て方を問い合わせたときに、案内してもらった解説動画(中国語、Bilibili)のうち、短い2本目「do52pcb区别」を、もう一度、見直しました。DO42との違いの部分を説明しているような動画で、基板を紹介する場面(0:54付近)に、5方向スイッチの枠の下の、2つのランドに、はんだの塊が付いているのが見えました。説明の字幕は、ありません。

「もしかして、ここをつなぐのでは」と思って、試しました。

直し方

  1. USB ケーブルと、左右をつなぐケーブル(TRRS)を、外します。
  2. 5方向スイッチの枠の下にある、矢印形のランド2つ(A と B)を探します。
  3. ランド A と B の間が離れているので、抵抗やダイオードの余った足を、短く切って、コの字に曲げ、2つのランドにまたがせます。
  4. 両端を、はんだ付けします。
  5. 2つのランドの間で、テスターの導通を確認します。

はんだだけで、つなごうとすると、玉になって、つながりにくいです。足の切れ端を、橋にすると、確実でした。

左の基板。枠の下の2つのランドに、はんだの塊が付いている
左の基板。2つのランドに、はんだを盛った。
右の基板。枠の下の2つのランドに、はんだの塊が付いている
右の基板。足の切れ端で橋をかけた……つもりが、ほぼ、はんだの団子になった。

ここで、白状します。はんだ付けが、かなり下手くそです。

「橋をかける」というより、「はんだの団子を、2つ作って、くっつけた」に近いです。特に右の基板は、足の切れ端を、2つのランドに渡したはずなのに、はんだが盛り上がって、足が、もうどこにあるのか分かりません。左の基板も、こんもり盛った、小さな山が、2つ並んでいます。

でも、導通はしていて、5方向スイッチは動きました。 見た目はともかく、動けば、よし、ということにしてください。もっと、きれいに付けたい方は、こて先の温度を、少し上げて、フラックスをたっぷり塗って、短い時間で仕上げると、もう少し、スマートにできるはずです(自分でできるとは、言っていません)。

結果: 5方向スイッチが、光った

ブリッジのあと、VIA のマトリックステストで、左右とも、5方向スイッチの5つの位置が、すべて光りました。

VIA のマトリックステスト画面。左右の5方向スイッチの十字が光っている
ブリッジのあと。左右の十字(5方向スイッチ)が、反応している。

光った瞬間は、「予想が当たって良かった」という気持ちと、「こんな落とし穴があるなら、説明書くらい同梱してほしかった」という気持ちが混ざり、なんとも言えない感情でした。でも、動いて良かったです(笑)。

わかっていないこと

同じキットで、5方向スイッチが動かない方の、参考になればうれしいです。

次の記事

次は、いよいよ、ケースに入れて、形にします。製作記6に書きました。

DO52Pro分割キーボード自作キーボードトラックポイントVIA